無線機器検討にあたって
無線を使用した製品は、その名のとおり「線が無い」ことが運用上の大きなメリットになります。しかし、逆に大きなデメリットも存在します。それはデータが失われる可能性が常にあるということです。正常に通信が行われている場合、有線接続では、停電や故障、通信ケーブルの抜け落ちなどの突発的な事態が発生しない限り、データが失われることはほとんどありません。しかし、無線接続では状況が異なり、データが失われる可能性があります。これは、通信ケーブルに相当する電波経路の空間の状態が、容易に変化するためです。有線通信では、データの伝送経路が物理的なケーブルによって安定して維持されますが、無線通信においては、その役割を果たすのは空間そのものです。この空間は、周囲の環境によって影響を受けやすく、人や金属などの障害物が存在すると、電波の伝 送状態、ひいては受信状態が変化します。そのため、無線通信ではデータの消失が発生するのは決して異常なことではなく、むしろ一般的な現象といえます。
他の電波源やノイズがあればもちろんのこと、金属や水分からも影響を受けます。屋内においては、新しい電子機器を設置した、ロッカーを移動した、ドアを閉めたなどがあります。人体の半分以上は水分でできていると言われているため、人の存在自体が正常な通信を妨げる要素となります。さらに、歩き回れば、複数人いれば、事態は深刻になっていきます。屋外においては、気候、特に降雨などによって影響を受けます。
これらの電波状況の変化に耐えるべくさまざまな工夫はなされていますが、それを超える変化があれば、通信が維持できなくなり、データの損失が発生します。したがって、今まで正常に稼働していたシステムであっても、ある日突然、問題が発生する可能性が常にあります。
このページでは、電波や無線に関わるさまざまなトピックを解説しています。製品を購入される前に、これらの情報をご参照のうえ、実際に運用する環境において、運用に耐えられるかどうかをご検討ください。
なお、製品によっては、貸出機の準備もございますので、採用をご検討いただく際は、事前にご評価いただくことをお勧めします。また製品マニュアルには、電波に関する固有の記述や保証範囲も記載されていますのでご参照ください。データ自体の重要性や、許容できるデータ損失の割合などから、アプリケーションでのデータの多重化やエラー検出を検討いただき、場合によっては無線製品自体の採用を避けてください。特に人の生死にかかわるシステムについては、使用に耐えられる良好な通信状況と判断されたとしても、採用してはなりません。
本書は、簡便な説明のために、内容に厳密性を欠く場合があります。必要に応じて専門書なども併せてご参照ください。